2010年12月18日

夏目漱石旧居跡「猫の家」(文京区向丘)ほか

 先週の大名庭園めぐりにつづき、きょうは手始めに小石川後楽園から旧岩崎邸さらに根津神社、そして最後に夏目漱石旧居跡(猫の家)と盛り沢山に歩いた。小石川後楽園(国の特別史跡、特別名勝)は水戸黄門ゆかりの回遊式築山泉水庭。素晴らしい庭園なのだが、この日は関ジャニ∞の東京ドームコンサートが行われていて、大音量が庭園まで響いてくるのは興ざめだった。長居せずに旧岩崎邸庭園へ向かう。


文京区役所と東京ドームが見える
音羽の滝付近から大堰川(小石川後楽園)


 春日通りから湯島天神を右に見て、天神下の交差点手前から左に入ると旧岩崎邸の正門に至る。旧岩崎邸は、ジョサイア・コンドルの設計により明治29年に建てられた日本の建築史に残る洋館である。戦後はGHQに接収されたりしたが修復されて保存状態は良い。大河ドラマ「龍馬伝」の人気でたくさんの人が訪れている。岩崎家本邸内に入るときに福島の団体客が大型バスで乗り付けてきていて、落ち着いて観賞できる雰囲気ではなかった。庭を一巡りしたあと、日も陰ってきたので次の目的地へ急ぐ。


旧岩崎家本邸
庭園側から見た旧岩崎邸


 根津神社へは、不忍通りを不忍池を右に見て千駄木方面へ歩いていく。途中の横山大観記念館をのぞきたくなったが、時間も押しているので断念。黙々と歩いたので行きすぎ日本医大病院の方から回り込んで根津神社へ。境内にある駒込稲荷神社の稲荷はみな猫のような顔になっていた。本日最初に見つけた猫は用心深いキジトラで、振り向きつつ植え込みの中に消えた。このあとは境内を一回りしても猫には会えず。


これじゃ猫稲荷だ(駒込稲荷)
こちらは人面稲荷?(駒込稲荷)

根津神社社殿


 最後に今日一番の目的地である「夏目漱石旧居跡」を探すことにする。場所はうろ覚えなので郁文館高校まで行ってしまい少しウロウロしてしまう。日本医大病院と和菓子屋一炉庵の間の道を入るとあっさり漱石住居跡碑が見つかった。碑だけだと物足りないが、塀の上をリアルなオブジェの猫が。これがあるから猫好きは来てみようという気になるのだ。現在は日本医大同窓会館の敷地となっている。ちなみに当時の住居表示は千駄木町となっているが、現在は文京区向丘である。


 夏目漱石旧居跡の碑文は次のとおり。
夏目漱石は明治卅六年一月英国から帰り三月三日ここ千駄木町五十七番地に居を構へた。
前年二箇年は一高と東大の授業に没頭したが、卅八年一月「我が輩は猫である」「倫敦塔」等を発表して忽ち天下の注目を浴び、更に「猫」の續稿と竝行、卅九年初から「坊っちゃん」「草枕」「野分」等を矢継早に出して作家漱石の名を不動にした歳末廾七日西片町に移り翌四十年四月朝日新聞に入社し、以後創作に専念した。千駄木町は漱石文發祥の地である。
森鴎外も前に(自明治廾三年十月至同廾五年一月)その家に住んでゐた。家は近年保存のため移築され、現在犬山市明治村にある。
昭和四十六年三月三日
夏目漱石旧居跡「通称猫の家」
オブジェ猫がいるから来たんだよ 
できれば烏猫にしてほしかった