2006年3月21日

知床の猫山には耳が二つついていた

 最近、『知床半島の山と沢』(共同文化社)という本を購入した。昨秋に出版されたことは雑誌などでも知っていたのだが、2月上旬に著者の伊藤正博さん(網走山岳会会員)から「知床の山と沢を網羅した本ですが、沢から登った猫山(553.3m)の記録も載せてあります」と、親切にもメールをいただいたからだ。



 知床の山々については、せめてモセカルベツ川やサシルイ川、あるいはコタキ川から知床岳に行ってみたいと、若い頃から思いを抱いてきた。今では同じ知床でも、登山者に見向きもされない猫山(553m)に興味が向く。北海道で猫山というのはここだけだし、山の由来もはっきりしない。その猫山に、しかも沢から登ったのだから、ぜひともこの本を手にとってみたかった。

 Amazonに注文すると2日後に届いた。すぐに猫山のページをめくる。麓から撮った猫山の写真があって、なんと猫耳がついているではないか。著者は『猫山の名の由来は不明である。茶志別橋から眺めると二つの耳がある猫の顔の様に見えるので名付けられたのか、アイヌ語の「ナィ・コッ」(水の涸れた沢、水の無い沢の意味)に漢字を当てたのだろうか。』と書いている。

 この本では、必ず山名や沢名の語源を説明しており、行動記録の羅列でないところがうれしい。猫山についてアイヌ語の当て字説は知っていたが、この山の写真を見ると、どうやら山の形容からつけられた山名というほうに自然に傾いてしまうのだ。いつかこの目で確かめに行きたいものだ。