2009年11月29日

お疲れ気味?猫駅長「バス」(芦ノ牧温泉駅)

 猫の駅長として有名なのは和歌山電鐵貴志川線貴志駅(和歌山県紀の川市)の三毛猫たまだが、東日本でも会津鉄道芦ノ牧温泉駅の名誉駅長猫「ばす」が頑張っている。

 11月28日 きょうは南会津の岩瀬湯本温泉で山岳会の忘年会。最寄り駅は会津鉄道湯野上温泉駅だが、早めに出かけて芦ノ牧温泉駅の駅長ばすの活躍ぶりを見に行くことにした。メスでチンチラとトラ猫のミックス猫だという。平成11年6月に子ども達が迷い猫を駅に連れてきたことがきっかけで駅舎で寝泊まりするようになったらしい。

 11月下旬の会津は寒く、山々はうっすら雪化粧していた。芦ノ牧温泉駅は湯野上温泉駅から二つ目。改札を出て待合室に行くと座布団の上でボロぞうきんのように寝ているバスがいた。写真で見た精悍な顔つきと目の前の寝姿の落差が大きい。10歳だから決して若いとはいえないし、寒さもこたえるのだろう。

 いずれ起き出すだろうから昼飯でも食いに行こう。駅から出て正面の通りを少し行くと「元祖会津ラーメン 創業八十余年」の「牛乳屋食堂」がある。もともとは「牛乳屋」だった由で、ラーメン屋もはじめたから牛乳屋のうしろに食堂をつけたという。なかなか繁盛しているようでラーメンを食べ牛乳を飲む。駅に戻るとバス駅長は相変わらずピクリともせずに爆睡中だった。そっとしておいてあげることにした。

 湯野上温泉駅へ戻って宿泊先の湯本温泉湯口屋へ。翌29日は二岐山に登った。

ボロぞうきん…いや「バス駅長」
駅長室
牛乳屋の猫

2009年9月7日

常保寺(青梅市滝ノ上町)の猫地蔵と猫町散策

 9月6日 惣岳沢〜志田倉沢下降の計画をたてて武蔵五日市駅に降り立った。が、9月からバス時刻が変わり藤倉行は2時間後となってしまった。転進するような沢は特にないし、残暑の中のハイキングも気乗りしない。バス停敗退…。山行中止の連絡を入れて昭和レトロの町・青梅をぶらつくことにした。

猫町青梅の招き猫地蔵

 青梅駅からまず市立美術館の向かいにある瀑布山常保寺(臨済宗建長寺派、青梅市滝ノ上町)へ行く。ここには招き猫の地蔵があるはずだ。合掌一礼の山門をくぐると境内左手に六地蔵があり、その後ろにかなり古そうな猫地蔵があった。小さめの顔と耳にヒゲもきちんと彫られている。背筋のピンとしたスリムな左手上げの招き猫だ。裏面には「南無妙法蓮華経」と彫ってある。寺によると「昭和の中頃、青梅市内の無住寺院の土地処分に伴って引き取った」とのこと。焼香台があるから信仰の対象となっていた猫地蔵であろう。やはり青梅といえば養蚕神との関連が想像される。

常保寺の本堂
招き猫の猫地蔵
背筋がピン
小ぶりの耳に小顔

 次に向かったのはやはり青梅赤塚不二夫記念館(青梅市住江町)で、目当ては招菊千代。赤塚不二夫の愛猫を招き猫にしたもりわじんの作品で、赤塚不二夫1周忌、菊千代13回忌の今年7月27日にご開帳されたばかり。ちょうど「天才バンザイ猫 菊千代展」が開催中だった。もりわじんの手にかかれば菊千代も猫神様になるのだ。おそ松くん世代なので、ついついパソコン画面で懐かしいマンガに見入ってしまった。

マンガを描く猫のオブジェ(赤塚不二夫会館)
もはや神仏扱いの「招菊千代」(もりわじん作)


 お隣の昭和レトロ商品博物館(二階は「雪おんなの部屋」)と通りの向かい側の昭和幻燈館にも立ち寄る。住吉神社に向かう参道には「あおめ招き猫」の「大黒天猫」「恵比寿猫」が鎮座していた。再び駅前に戻って「にゃにゃまがり」の路地に入ってみる。「七曲がり」が正式名称で、幅1mもない狭い路地を七回曲がる。そこかしこに色々な猫のオブジェがあったりする楽しい道だ。


住吉神社の恵比寿猫
住吉神社の大黒天猫
猫のバス停(住江町)
「にゃにゃまがり」は曲がりくねった細い道


 

2009年4月12日

瑠璃寺の薬師猫神様(長野県下伊那郡高森町)

 信州伊那谷にもりわじん作の猫神様(猫薬師)を祀る寺がある。天台宗大嶋山瑠璃寺(下伊那郡高森町大島山)は天永3年(1112年)創建で、2011年に開基900年を迎える古刹だ。わじん氏に制作を依頼して完成するまで1年9か月を要し、平成19年(2007年)4月1日から一般公開された。境内にある天然記念物の「枝垂れ桜」は源頼朝が寄進した桜で見所の一つ。ちょうど満開の頃を狙ってでかけた。

桜満開の伊那谷へ

4月12日 中央高速バスを利用して高森で降りる。JR市田駅からだとかなり遠い。ゆるやかに登り道を15分ほどで瑠璃寺に着いてしまう。散り始めているが枝垂れ桜が圧巻である。薬師猫神様を拝観するため瑠璃の里会館へ。ホール右奥のお蔵に猫神様は鎮座していた。白壁に妖しい光が猫神様を包んでいる。涙でうるんでいるかのような慈悲深い目だ。口元はきりりとしてかつての養蚕の守り神たる猫神の威厳が感じられる。猫神様を中心に左右に日光・月光、手前には十二神将の猫神が並んでいる。座の下には眠り猫神もいた。

 写真撮影は禁止なので、「もりわじん」作品を猫町通販で購入した際にもらったカード(ポストカードではない)の「薬師猫神様」をアップする。


これが「薬師猫神様」

 夜は宵祭りの獅子舞が披露されるとのことで、桜見物客も徐々に増えてきた。枝垂れ桜や鐘楼わきの地主桜(これも頼朝寄進)を愛で、瑠璃寺の周辺を一周してみた。何よりも南アルプスの展望がよく、心が飛んでいきそうだ。一番鋭利な山頂は塩見岳だろうか。眺めがいいと知らず知らずに時間が過ぎていく。名残惜しいが中央高速の高森バス停に戻り予約していたバスを待った。帰路はそれほどの渋滞もなく新宿に着いた。伊那谷には養蚕神としての猫碑も多いと聞く。いずれ時間をとって訪ね歩いてみたい。


源頼朝寄進の枝垂れ桜(天然記念物)
これも頼朝寄進の地主桜
瑠璃寺から南アルプス遠望