埼玉県比企郡鳩山村須江 戸隠山
戸隠山に岩屋がある。昔、古猫がこの岩屋に沢山集まり、笛を吹いたり、仕舞を舞ったりしたという。 『川越地方郷土研究』四冊
ねこまた伝説の全文はこれだけにすぎない。比企郡鳩山村は現鳩山町。この一帯は外秩父の丘陵地帯で周辺の開発が進み、地形図を見ても戸隠山という山は見当たらない。須江という地名は残っているが、北側に98.3mの標高点があり周辺の最高地点だ。実際に伝説の地を歩いてみることにした。
埼玉県唯一のねこまた伝説の地へ
7月19日 朝から強烈な太陽が照りつける。きょうは沿線地の探索なので気楽だ。東上線武蔵嵐山駅でおりて笛吹峠へ向けて歩いていく。途中、源義賢の墓地や源義仲、源義高生誕地、縁切り橋(東征中の坂上田村麻呂が、心配して訪ねてきた奥方を叱りつけ京に返した)、将軍塚など見所がある。また、笛吹峠までの一帯は蝶の里としてオオムラサキの保護に力を入れている。峠までのなだらかな登りで涼しげなクヌギ林で心地よい。この道はかつての旧鎌倉街道で幾多の武士団らが往き来したところだという交通の要所であった。
約50分で峠に着く。ハイカーも訪れていて休憩所もあり、一息入れる。「クマ出没注意」の看板があり、こんな里山にも出没するのかと驚く。「平成20年5月27日に熊の目撃情報あり」と記されていた。峠から西に幅広の道が続いている。東に行けば物見山へと続くハイキングコースだ。98.3m標高点を通る西の道に入る。北が嵐山町、南は鳩山町の境界道となっている。標高点付近から南側に入る道があり、そちらに行ってみる。明るく開けた伐採跡に出る。南側は谷を隔てて森となって人家は見えず、里山とは思えない山中にいる感じ。このあたりが戸隠山というのだろうか。雑木林とヤブで自由に歩き回ることはできない。
涼しげなクヌギ林のトンネルを笛吹峠へ
笛吹峠 |
里山ながら「熊出没注意」の看板 |
ねこまたの岩屋はこの森に? |